強剛母趾は、親指の付け根にあるMTP関節が硬くなり、動きが制限される疾患です。
進行すると痛みや日常生活への支障が大きくなるため、手術が必要になる場合があります。
この記事では、強剛母趾の手術について、種類や特徴を解説します。
ただ、2025年現在の強剛母趾治療は、手術より歩行改善が完治に繋がります。
手術の費用や入院期間を考えると、重度の強剛母趾でないかぎり、まずは歩行改善で治療を開始して下さい。
強剛母趾とは?
強剛母趾は、MTP関節(第1中足趾節関節)の軟骨がすり減り、骨棘(こつきょく)が形成されることで発生します。
この状態では、親指を反らす動作が困難になり、痛みを伴うことが多いです。
主な症状
- 親指の付け根が歩行時や運動時に痛む
- 親指を背屈(反らす)する動作が制限される
- 関節部分の腫れや隆起
- 靴に当たることで痛みが増加
原因
- 足の骨格異常や小さなケガの蓄積
- 加齢による変化
- 関節リウマチや痛風などの疾患
強剛母趾の手術治療
手術適応
保存療法(装具や薬物療法)で改善しない場合、手術治療が検討されます。
手術は症状の重症度や患者の年齢・活動レベルに応じて選択されます。
代表的な手術方法
以下に、強剛母趾治療で行われる主な手術方法を紹介します。
1. 関節唇切除術(Cheilectomy)
骨棘と傷んだ軟骨の一部を切除し、関節の動きを改善する手術です。
軽度から中等度の強剛母趾に向いています。
特徴
- 比較的短時間で済む
- 関節可動域を維持可能
- 症状改善効果は高いものの、重症例には不向き
手術内容
背側から切開し、骨棘を削除。
MTP関節の背屈角度を70度程度まで回復させる。
回復期間
手術後数週間で日常生活復帰可能。
中足骨骨切り術
第1中足骨を切り取り調整することで、関節機能と痛みを改善する方法。
軽度から重度まで幅広い症例のある術式です。
特徴
- 骨軸の角度調整により負荷分散を図る
- 局所麻酔で日帰り手術も可能
- 骨切りラインや固定技術に熟練が必要
手術内容
- 切開後、中足骨頸部を特定角度で切除。
- 骨片をスライドさせて固定(K-wire使用)。
- 骨片間のずれを透視モニターで確認しながら調整。
回復期間
術後6週間程度装具使用、その後通常活動へ。
骨を切るので出来なくなるスポーツなどがあります。
関節固定術(Arthrodesis)
MTP関節を完全に固定し、痛みを除去する方法。
重度の場合や他の方法で効果が得られない場合に選択されます。
特徴
- 痛みはほぼ完全に解消
- 可動域は失われるためスポーツ活動には不向き
手術内容
- 関節面を整えた後、金属プレートやスクリューで固定。
- 骨癒合まで数か月要する。
回復期間
術後10週間以降から徐々に活動再開。
第1中足骨底屈短縮骨切り術
第1中足骨を短縮しながら底屈させる新しい技法。
骨棘切除では不十分だが関節固定には至らない中間的な症例に適用されます。
特徴
- 症状改善率が高い
- 関節可動性を一定程度維持可能
注意点
専門医による施行が必要。
手術後のリハビリと注意点
リハビリプラン
- 術後直後から装具使用で歩行訓練開始。
- 術後4週目でピン抜去(必要な場合)。
- 術後6週目まで免荷装具使用。
- 術後10週目以降から通常活動再開。
注意事項
- 感染予防のため傷口ケア徹底。
- 適切な靴選びと装具使用で再発予防。
強剛母趾の手術をする前に歩行改善をお試しください。
強剛母趾の手術治療は、患者個々の症状や生活スタイルに合わせて選択されます。
軽症例では「関節唇切除術」、重症例では「関節固定術」など、それぞれメリットとデメリットがあります。
また、関節を削る手術をするとスポーツができなくなったりします。
2025年現在の強剛母趾は、歩行改善で完治できることが判っています。
取返しがつかない手術を検討する前に、歩行指導のある整形外科か、強剛母趾の完治の実績のある専門院で歩行改善に取り組んでみて下さい。