強剛母趾の応急処置は、急性期の痛みと炎症を抑え、症状の悪化を防ぐことが重要です。
痛みを感じる場合は、かなり症状が進行している証拠です。
強剛母趾は自然に治ることはなく、悪化する一方です。
早めに治療を開始しましょう。
急性期の応急処置の基本原則
強剛母趾で足の親指が痛み出した場合の応急処置についてです
冷却療法(アイシング)
強剛母趾は親指のMTP関節の炎症が痛みを発しています。
まずは患部を冷やすことが最優先です。
ビニール袋に氷と少量の水を入れ、1回15~20分を目安に1日3~4回冷却します。
冷やし過ぎに注意し、皮膚との間にタオルを挟むことで凍傷を予防します。
炎症反応が強い場合、関節周囲が熱を持っている状態なので、冷却により血管収縮を促し腫脹を軽減します。
完全な安静保持
- 硬い床での裸足歩行を避け、クッション性のあるスリッパを使用
- 歩行時は歩幅を通常の2/3程度に縮め、蹴り出し動作を最小限に
- 階段昇降やスポーツ活動を完全に中止
適切な履物の選択
推奨する靴の特徴 | 避けるべき靴の特徴 |
---|---|
つま先部に余裕がある(幅1cm程度) | 先細りデザイン |
靴底が硬く曲がりにくい(ロッカーボトムソール) | 柔らかいソール |
ヒール高2cm以下 | ハイヒール・厚底靴 |
甲部分に調整可能なストラップ付き | スリッポンタイプ |
痛み管理の具体的手法
足が痛む場合の対処法です。
薬物療法
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の外用剤:ジクロフェナク配合ゲルを1日2回塗布
- 内服薬:ロキソプロフェンなど医師処方の消炎鎮痛剤(胃腸障害に注意)
- 湿布薬は関節の動きを制限する可能性があるため、軟膏剤が推奨
日常生活での注意点
- 前足部荷重を軽減するため、T字杖やロフストランドクラッチを使用
- 屋内では「歩行器付きスリッパ」を着用し、床反力を分散
- 足の体重分散を妨げるテーピングの使用禁止
- 炎症をひどくするマッサージの中止
- 関節の痛みをひどくするタオルギャザーの中止
- 歩く際の重心移動を足の外側にする
歩行改善の取り組み
炎症が鎮静化したら(発症1週間後~)、歩行改善に取り組む。
- 重心がまっすぐになる姿勢
- 足裏への体重分散を「かかと重心」に
- 歩く際の重心移動を内側ではなく、外側に
医療機関受診の判断基準
以下の症状が出現した場合は速やかに整形外科を受診:
- 安静時痛が48時間以上持続
- 関節周囲の皮膚が赤紫色に変化
- 38℃以上の発熱を伴う
- 母趾が完全に伸展不能になった場合
早期に適切な応急処置を施すことで、痛みは緩和されます(無くなることは無い)。
整形外科で痛み止めを処方してもらって、痛みが和らいでいる間に、歩行改善に取り組んで下さい。
強剛母趾になるのは歩き方の問題なので、歩き方が改善されない限り、手術しても再発します。
歩行改善に取り組む前には現状分析が必要です。