モートン病は、足の指の付け根付近で神経が圧迫されることで生じる疾患で、鋭い痛みやしびれを伴います。
治療法の一つとしてステロイド注射が用いられますが、これは炎症を抑え、痛みを軽減するための方法です。
ステロイド注射の仕組み、効果、リスク、治療の流れについて詳しく解説します。
1. ステロイド注射の仕組み
ステロイド注射は、副腎皮質ホルモン(コルチコステロイド)を含む薬剤を患部に直接注入する治療法です。
ステロイドには強力な抗炎症作用があり、神経周囲の炎症を抑えることで痛みを軽減します。
作用機序
- 炎症の抑制 – 神経周囲の炎症を鎮め、痛みの原因を取り除く。
- 神経の過敏性を低下 – 神経の興奮を抑え、痛みの伝達を減少させる。
- 即効性 – 注射後数日以内に痛みが軽減することが多い。
2. ステロイド注射の効果
即効性があり、注射後すぐに痛みが軽減されることが期待できます。
ただし、効果の持続期間は個人差があり、数週間から数ヶ月程度持続することが一般的です。
3. ステロイド注射のリスクと副作用
ステロイド注射は強力な治療法ですが、頻繁に使用すると副作用が発生する可能性があります。
主な副作用
- 脂肪萎縮 – 注射部位の脂肪組織が減少し、足裏のクッション性が低下する。
- 皮膚の色素沈着 – 注射部位の皮膚が変色することがある。
- 腱や靭帯の弱化 – 靭帯や腱がもろくなり、損傷しやすくなる。
- 感染リスク – 注射による感染の可能性があるため、衛生管理が重要。
4. ステロイド注射の治療の流れ
① 診断と適応判断
医師がモートン病の診断を行い、ステロイド注射が適切かどうかを判断します。
通常、保存療法(インソール、ストレッチなど)を試した後に検討されます。
② 注射の実施
- 局所麻酔を併用することが多く、痛みを軽減しながら注射を行う。
- 超音波ガイド下で正確に注射することで、効果を最大化。
③ 経過観察
- 数日以内に痛みが軽減するかを確認。
- 効果が不十分な場合は追加の治療を検討(インソール、リハビリなど)。
5. ステロイド注射以外の治療法
保存療法
- インソールの使用 – 足のアーチをサポートし、神経への負担を軽減。
- ストレッチ・リハビリ – 足の筋肉を強化し、歩行時の負担を減らす。
手術療法
- 神経剥離術 – 圧迫されている神経を解放する手術。
- 神経腫切除術 – 神経腫を取り除くことで症状を改善。
6. ステロイド注射は、モートン病の痛みの根本的な解決にはなりません。
ステロイド注射は、モートン病の痛みを即座に軽減する有効な治療法ですが、根本的な解決にはならず、繰り返し使用すると副作用のリスクが高まるため、慎重に検討する必要があります。
モートン病は現在では、注射や手術せずに完治する治療法が取られています。
さらに詳しく知りたい場合は、モートン病の治療についてをご覧ください。