日帰りできる手術から、割と長く入院しないといけない手術法まで色々です。
どの方法で手術するか?は、外反母趾の症状によりますので、医師の判断が必要です。
ちなみに、2025年現在、外反母趾は治療法が確立し、手術せずに治る症状になっています。
本来必要ない手術ですが、手術を希望する方のために外反母趾の手術についてまとめました。
1. 外反母趾の手術が必要なケース
外反母趾は、親指が小指側に曲がり、母趾の付け根の関節が突出する疾患です。
現在は、親指の角度が曲がっているだけなら、手術せずに改善が可能です。
事故による骨の変形や、親指が隣の指にまで乗っているほどの重度で手術が検討されます。
2. 外反母趾の手術の種類と詳細
(1) 軟部組織手術(腱や靭帯の調整)
主に軽度~中等度の外反母趾に適応され、骨を切らずに変形を矯正します。
代表的な術式
- マクブライド法:腱や靭帯を調整して矯正
- 鵞足縫合法:靭帯のバランスを調整
(2) 骨切り術(中等度~重度の外反母趾に適応)
骨を切って変形を矯正する手術で、より確実な矯正が可能。
代表的な術式
- シェブロン法(Austin法):V字型の骨切り
- スカーフ法:Z字型の骨切り
- ラポート法(Ludloff法):斜めの骨切り
(3) DLMO法(Distal Linear Metatarsal Osteotomy:遠位線状中足骨骨切り術)
特徴
- 比較的新しい手術方法で、主に中等度~重度の外反母趾に適応
- 第一中足骨の遠位(つま先寄り)を直線的に切り、横にずらして固定する術式
- シェブロン法やスカーフ法と比べ、骨を切る量が少なく、より強固に固定できるため、術後の安定性が高い
メリット
- 骨を大きく切らずに済むため、手術の侵襲が少ない
- 手術後の回復が早い(固定性が高いため)
- 矯正力が高く、長期的に安定しやすい
デメリット
- シェブロン法やスカーフ法と比べると、適応が限られる(非常に軽度の外反母趾には適さない)
(4) 関節固定術・人工関節置換術
関節の変形が著しく、関節自体が機能していない場合に適応。
- 関節固定術:第一中足骨と中足骨を固定
- 人工関節置換術:変形が高度な場合に人工関節を埋め込む
3. 手術の入院期間・仕事復帰までの期間
術式によって異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。
軟部組織手術(マクブライド法など)
- 入院期間: 1~3日
- 松葉杖なしで歩行可能になるまで: 約2週間
- 仕事復帰までの期間(デスクワーク): 2~3週間
- 仕事復帰までの期間(立ち仕事): 4~6週間
シェブロン法、スカーフ法、DLMO法
- 入院期間: 3~7日
- 松葉杖なしで歩行可能になるまで: 3~4週間
- 仕事復帰までの期間(デスクワーク): 4~6週間
- 仕事復帰までの期間(立ち仕事): 8~12週間
ラポート法
- 入院期間: 1~2週間
- 松葉杖なしで歩行可能になるまで: 4~6週間
- 仕事復帰までの期間(デスクワーク): 6~8週間
- 仕事復帰までの期間(立ち仕事): 10~14週間
関節固定術、人工関節置換術
- 入院期間: 1~2週間
- 松葉杖なしで歩行可能になるまで: 6~8週間
- 仕事復帰までの期間(デスクワーク): 8~12週間
- 仕事復帰までの期間(立ち仕事): 12~16週間
DLMO法は、スカーフ法やシェブロン法と同じく比較的早期に歩行可能になるのが特徴です。
4. 手術・入院費用の目安
外反母趾手術の費用は、術式・病院・保険適用の有無によって異なります。以下は健康保険(3割負担)を適用した場合のおおよその費用です。
軟部組織手術
- 総費用(健康保険適用前): 約30~50万円
- 自己負担額(3割負担): 約9~15万円
シェブロン法
- 総費用(健康保険適用前): 約50~80万円
- 自己負担額(3割負担): 約15~24万円
スカーフ法、DLMO法
- 総費用(健康保険適用前): 約60~90万円
- 自己負担額(3割負担): 約18~27万円
ラポート法
- 総費用(健康保険適用前): 約80~100万円
- 自己負担額(3割負担): 約24~30万円
関節固定術
- 総費用(健康保険適用前): 約80~120万円
- 自己負担額(3割負担): 約24~36万円
人工関節置換術
- 総費用(健康保険適用前): 約100~150万円
- 自己負担額(3割負担): 約30~45万円
DLMO法の費用はスカーフ法とほぼ同じ程度です。
高額療養費制度の適用
日本では1カ月の医療費が一定額を超えると負担が軽減される「高額療養費制度」があります。
例えば、年収370万~770万円の方の場合、自己負担の上限は約9万円程度となるため、それ以上の額は払い戻されます。
5. 手術はデメリットが多く、最近ではまずは歩行改善での治療が採られます。
外反母趾の手術についてのまとめです。
- 軽度~中等度の外反母趾は、軟部組織手術やシェブロン法・スカーフ法・DLMO法が適応され、比較的早期に回復可能。
- DLMO法は、比較的新しい術式で、骨を大きく切らずに安定した矯正が可能で、回復が早い。
- 重度の外反母趾は、ラポート法や関節固定術が必要で、回復に時間がかかる。
- 入院期間は3~14日程度、仕事復帰はデスクワークで2週間~2カ月、立ち仕事では1.5~4カ月が目安。
- 手術費用は自己負担で10~30万円程度だが、高額療養費制度を活用すればさらに負担軽減が可能。
外反母趾の手術は入院、費用、仕事復帰までの期間から、なるべく避けらえることが多いです。
まずは、歩行改善を試し、どうしても足の形がもどらなければ、手術と言う流れとお考え下さい。
歩行改善の前に、正しい歩き方ができるように姿勢分析と足圧分析が必要です。